水


クジラ日記

2000 5/6 高知県・大方町


ニタリの泡吐き

 大方町での4日間にわたるホエールウォッチングもこの日でいよいよ最終日です。クジラを探すとき、たいてい僕は船長さん任せなのですが、最後の日は自分でも気合を入れてクジラを探すことにしました。船を走らせているときからクジラを探していると、突然目の前にハナゴンドウが現れたりすることもあって、なかなか面白かったです。

茶色い苔が生えた背中  じつは昨日からイルカの群れが見えなくなってしまいました。宇佐からの情報では、イルカたちはかなり東のほうまで移動したようだということでした。距離的なあまり遠いようだと、探しに行くのはキケンだということで、午前中は南に船を走らせ、ハナゴンドウやニタリクジラをウォッチングしました。

 このときのニタリクジラは、深く潜った後、一度息を吸ってからまた少し潜り、バブルを吐きながら泳いでいたので、クジラがどこを泳いでいるのか大体の予想がついて面白かったです。ニタリクジラも、ザトウクジラと同じように、時にはこのバブルで円を描いて、えさの魚を追い込むことがあると聞きました。僕もそんな場面に一度出会えたらなあ。


ラブラブクジラ発見!?

 午後になると、興津の沖にイルカやクジラがいると情報が入ってきたので、午後は船を東に走らせ、そのポイントへ向かうことになりました。ポイントへ向かう途中、ハナゴンドウを何回か見ましたが、船は先を急いでいたので、ちらっと見ただけですぐ通り過ぎていきました。

 情報のあったポイントの近くまで来ると、もうすでに数隻の船が集まっていました。船のそばにはニタリクジラが2頭並んで、ゆっくり泳いでいました。クジラの様子をよく観察していると、みょうに2頭の距離が近く、本当に仲が良さそうに見えました。手を振る?ニタリクジラ

 すると今度は、海面下のクジラの色が茶色から白っぽい色に変わりました。1頭のクジラが身体をひっくり返して、仰向けになったり横向きになったりしています!海面上に胸びれを伸ばして、手を振っているようにも見えてしまいます。僕の想像ですが、このクジラたちはラブラブなクジラだったのではないでしょうか?

 クジラたちも愛し合うときには、お互いにお腹を向け合うというのを聞いたことがあります。今回は少し離れていたため、お互いにお腹を向け合っていたのかは分かりませんでしたが、そんなふうに思えて仕方ありませんでした。でも、何にせよ貴重な場面に出会えて嬉しかったです。でもクジラたちにとっては、おじゃまだったのかもしれませんね。


最後のお別れ

 あんまり、このクジラさんをおじゃましても悪いので、僕たちはその場から離れ、もう少し離れた場所にいたイルカを見に行くことにしました。もう、イルカには会えないかと思っていましたが、最後にイルカたちの元気な姿を見ることが出来て、とても満足でした。

 ここでもやっぱり、イルカの後ろにはニタリクジラが後を追うように泳いでいました。ニタリクジラにしてみれば、自分で探さなくても、イルカの後をついていけば、えさであるイワシにありつけるので、とっても楽チンなのだと思います。これもクジラたちが、この海で生活するために得た知恵なのですね。決してズルイとか言ってはいけないのです。(^^)

 船は、ひととおりイルカに挨拶した後、意外にあっさりと帰路につきました。僕としてはもっともっと見ていたかったのですが、別れは名残惜しくないほうがいいものです。今年はまた、カツオの一本釣りがある秋に来ようと心に決めつつ、大方の海を後にしました。

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