水


クジラ日記

2000 6/4 和歌山県・那智勝浦町


3週間ぶりの勝浦

 このところ週末になると、必ず天気が崩れてしまっていましたので、ずーっと欠航続きでした。そんなわけで、3週間ぶりにやっと勝浦に来ることができたのです(^-^)。前日(6/3)も、なんとか出航できたのですが、残念ながらマッコウクジラは見つからず、ハナゴンドウが少し見れただけでした。天気はくもりだったのですが、波がなかったので、条件的には割と良かったのですが、やはりクジラが少なくなってきているのか、見つけるのはかなり難しいようでした。

 昨日の今日なので、クジラが見つかるかどうか、かなり不安だったのですが、海況は昨日に引き続き、穏やかでしたので、頑張ってクジラを探そうと思いました。最近では、カツオが釣れにくくなってきているせいか、漁船が海に出ていません。だから漁船からの情報が得られないのです。その代わり、突きんぼ船や捕鯨船が出ているので、そっちの方からクジラの情報を得られることがあります。

 和歌山では、今も捕鯨が続けられています。とは言っても捕鯨の対象になるクジラは制限されていて、マッコウクジラなどの大型の鯨類は捕鯨の対象にはなっていません。「突きんぼ船」と呼ばれる小型船が、ハナゴンドウやハンドウイルカなど主に小型のクジラ類を銛で突くものと、さらに大型の捕鯨船で、コビレゴンドウやツチクジラなどの中型の鯨類を捕らえるものが出ています。


捕鯨船集まる

 いつも港から出航していくときに、小島の間を抜けていくのですが、この日は小島の上空に、無数の小さな鳥が飛んでいました。羽を広げ、きれいに舞う“アマツバメ”の群れです。毎年この時期になると、子育てのために遠くから渡ってくるそうです。小島には“アマツバメ”の巣が、きっとたくさんあるんでしょうね。

捕鯨船! 沖に出て、まず始めに見つけたのは、ハンドウイルカの群れでした。とは言っても、そんなに大きな群れではなく、数頭の小さな群れでした。気がつくと、あたりには捕鯨船が集まってきていて、どうやらこのあたり一帯に、イルカやクジラが散らばっているようでした。あまり漁のじゃまになってもいけないので、僕たちは、さらに沖へマッコウクジラを探しに行くことにしました。

 黒潮に入り、波も出てきた頃、漁師さんからマッコウクジラを見つけたという情報が入ってきました!しかしその場所は、今いるところよりもずいぶん陸よりで、出航した場所からかなり近い場所でした。今からそっちに向かったとしても、到着する頃にはクジラはもう潜ってしまっている可能性が高かったのですが、また近くに浮き上がってくるかもしれませんでしたので、そのポイントに向かうことにしました。


クジラの休み場!?

 沖まで来たときよりも東よりにルートを取り、マッコウクジラのポイントに向かいます。ポイントまでは、1時間近くかかる予定でしたので、他にもクジラがいないか探しながら、陸に向かうことにしました。まず最初にハナゴンドウの群れが向こうからやって来ました。逃げる様子も全くなく、船の前に浮かんだり沈んだりしながら、ずっと前を泳いでくれました。
コビレゴンドウたち
 さらに陸に向かうと、たくさんの背ビレが海面上にプカプカと浮かんでいるのが目に入ってきました。大きく後ろに湾曲した背ビレは、まさに“コビレゴンドウ”のものでした。コビレゴンドウたちは、まったく動く様子もなく、同じ場所でじっと浮かんだままでした。背ビレが小さいメスや子供が多く、立派な背ビレを持つオスは少ししかいないようでした。こんなふうに浮かんだままのクジラなら、捕まえるのはとても簡単です。船長さんは、先ほどの捕鯨船に連絡し、この場所を教えてあげました。

 回りを見渡すと、あちらこちらに違う背ビレも見えました。背ビレの先がとがったハナゴンドウや、身体の少し大きなハンドウイルカたちもいました。どうやらこの場所は、クジラたちの集まり場所になっているようなのです。こんなにたくさんのクジラたちが、同じ場所に集まっているのは初めて見ました。あまり激しい動きはありませんでしたが、珍しい場面に遭遇できて、とてもよかったです。

 捕鯨船がやってきたので、さらに陸へ向かってマッコウクジラを探しに行きました。しばらくするとさっきの捕鯨船から、クジラを捕まえることができたというお礼の知らせが入ってきました。少し複雑な気分でしたが、最後にマッコウクジラが見られることを祈って、船の見張り台から頑張って探しました、が・・・残念ながら、結局マッコウは最後まで見つかりませんでした。でも久しぶりに乗船することができ、たくさんのクジラに会うことができたので、なかなかに満足なウォッチングでした。(^-^)

トップへ クジラの海へ トップへ クジラ日記トップ

水
inserted by FC2 system