水


クジラ日記

2000 7/2 和歌山県・那智勝浦町


黒潮にいる!?

 またしても欠航につぐ欠航で、やっと1ヶ月ぶりにやって来れました。南紀マリンの情報によると、6月の中旬から、またマッコウが見れ出したということで、ここ数日は本当にウズウズしていたのです。もう仕事で疲れていようが、少しくらい眠かろうが、船が出るとなれば行くしかありません。今回は、前日にもマッコウがたくさん見れた聞き、本当に期待して出発しました!

 日曜だというのに、お客さんの数が少なく、船は一隻のみでした。今回の乗船は知り合いの方がたくさん乗っていたので、とても楽しかったです。三重大学から調査に来ている高橋さん、自然写真家の神崎さん、ネットで知り合った岩崎さん。何度も通っていると、クジラ仲間が増えていくのも楽しみの一つなのです。(^-^)

 海に出ると思ったよりも波風が立っていて、船が思うようにスピードを出せません。でも黒潮にのれば、マッコウがいるという情報があったので、時間がかかっても頑張って船を進めました。出航してから一時間半くらい経ち、やっと黒潮にたどり着きました。するとさっきまで白波がたっていたのに、黒潮の中ではずいぶん穏やかなのです。風向きや潮の流れなどの関係で、海の状況はかなり変化すると知りました。


クリック音、聞こえた!

 黒潮の中は本当に穏やかで、これならクジラのブローがあれば、すぐに見つかる状況でした。情報をもらったポイントについても、マッコウが見つからなかったので、新兵器「水中マイク」の登場です!高橋さんがマイクを海中に落とすと、「カチャカチャ・・・」という音がはっきりと聞こえました。確かにマッコウのクリック音です!マッコウは間違いなく、この近くにいるという確信を得ました。

 このクリック音は、マッコウクジラが深海で、餌となる魚やイカを探すのに利用します。何も見えない深海で、マッコウたちはクリック音を出し、何かに当って跳ね返ってきた音を頼りに、その物の形や距離を、正確に判断することができるらしいです。マッコウたちにとって、音はとても重要なシグナルなのです。

 みんなが、クリック音を聞いていると、早速マッコウが浮上してきました!一年ぶりに見るマッコウクジラ。高く上がる白いブローが、とても懐かしく思えました。いきなり前からマッコウが船に向かって来ました。頭を海面に突き出して、こちらの様子を探っていたのでしょうか?黒潮の中なので、驚くほど水はきれいです。船の横を通り過ぎるマッコウの影も、船上からはっきりと見ることができました!


絶え間ないブロー

ブローに架かる虹 最初のマッコウが通り過ぎていった後、あたりの海を見渡すと、また別のブローが見つかりました!今度はちょっと小さい子供のクジラのようです。船に並ぶように泳いでいると、ブローにきれいな虹が架かりました(^-^)。彼はそのまま尾びれを持ち上げ、きれいに潜っていきました。

 さらにあたりを見渡すと、また別のブローが見つかりました!こんな感じで、このあたりには、かなりの数のマッコウたちが散らばっていました。2頭同時に尾びれを上げて潜ったり、船のすぐ前をしばらくの間、浅く泳いでくれたり、なかなか多彩なマッコウを見ることができました!でもやっぱり近くで見るマッコウが一番迫力があります!久しぶりのマッコウに、とてもとっても興奮してしまいました。(^-^)

 マッコウウォッチングを楽しんだ後、出航場所近くに、オキゴンドウ(キュウリゴンドウ)がたくさんいるという情報を得たので、今度はそちらへ向かうことになりました。また帰りも、黒潮を離れると、かなり白波が立っていました。こんな白波の中では、クジラのブローをみつけるのも大変です。今回は、とてもラッキーだったと思いました。


キュウリとハナちゃん  

 白波の中、オキゴンドウの情報があったポイントまで戻ってきました。しかし、白波が多すぎて、オキゴンドウのような小さなクジラを見つけるのは至難の技です。ずっと海を眺めていると、白波がクジラの飛沫のように思えてくるのです。でも、さすがは船長さん!こんな白波の中でも、上手に見つけてくれました!

キュウリゴンドウ  細長い身体に、少し丸みを帯びた頭。間違いなくオキゴンドウでした。この辺りでは、身体の形が似ていることから、「キュウリゴンドウ」と呼ばれるほうが一般的なようです。オキゴンドウたちは、小さな群れをいくつか作り、このあたり一帯の海にかなりの数が散らばっているようでした。船の方にも結構近寄ってきて、なかなかに好奇心旺盛なクジラです。

 オキゴンドウを見失った頃、今度は前から白いクジラがやってきました。ハナゴンドウです!身体を傷だらけにして、年老いた個体ほど白っぽくなっていきます。ハナゴンドウたちは、なかなかにアクティブで、小さくブリーチングを繰り返したりと、激しく泳ぎ回っていました。白い身体は、水面下では水色に見えて、とてもきれいだったりします。このように、マッコウだけでなく、オキゴンドウやハナゴンドウにまで会え、とても盛りだくさんな1日となりました。(^-^)

 余談ですが帰ってきた後、港でキスの天婦羅にお寿司、アワビにカメノテと、とっても贅沢なご馳走をいただきました(^^)。ご馳走してくださったみなさま、どうもありがとうございました。とっても美味しかったです!特にカメノテは、エビの味に似て、意外にイケるのには驚きました。(^^ゞ

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