水


クジラ日記

2001 4/28 和歌山県・那智勝浦町
船長:米川さん

 ホエールウォッチングの幕開け!

 いよいよ和歌山のホエールウォッチングが始まりました。毎年毎年通いつづけて、もう6年目になります。いつまでも飽きさせないクジラの魅力に、自分自身ちょっと驚いてしまいます。また今年もできるかぎり通いつづけるつもりでいます。まずは、初日のホエールウォッチングです。

 今年は黒潮の流れが陸よりになっているらしく、その影響で3月くらいからマッコウクジラが、たくさん見つかっていたそうです。(漁に出ていた漁師さんからの情報)やはり冬場は海が荒れることが多いため、ホエールウォッチングの営業をするのは厳しいようなのですが、少しでも早くクジラに会いたい僕は、クジラがいるんだったらもうちょっと早くやってくれないかなあなんて思ってしまいます。(^^ゞ

 何はともあれそんな感じで、今年は結構期待が持てそうな気がしています!港に着くと、船長さんがきのうもたくさんマッコウクジラが見れたよと教えてくれました。否がおうにも期待は高まります!午後からは風が強まってくるようなので、出航は午前中だけになってしまいました。それでもクジラが見れたら、何も言うことはありません。今年のクジラ運はいかに・・・!?今日はお客さんが少なかったので、1隻だけの出航になりました。


マッコウはいずこ?

 6時に出航し、15分くらい船を走らせた頃、船長さんが突然しまった!と言い出しました。どうやら水中マイクを忘れてきてしまったらしいのです。潜水時間が長いマッコウクジラを見つけるのに、海面からブローを探すのは容易なことではありません。でも水中マイクさえあれば、正確な位置はわからなくてもクジラが近くに潜っているかどうかだけはわかります。かなり使える道具なのです!

 仕方がないので、今回は海上のブローをたよりに探すことにしました。それにカツオ漁の漁船がたくさん出ているので、何かクジラの発見情報があれば、すぐに届くようになっています。船は快調に黒潮の流れているところへ進みました。水温計を見ていると、最初17度程度しかなかったのが、黒潮に入ると20度くらいマッコウクジラの子どもまで上昇していくのが、はっきりとわかります。やはり暖かい海流はクジラにとっても居心地がいいのでしょうか?

 ところが、黒潮の潮目の辺りから急に風が強まり、白波が立ち始めました。これではクジラのブローと見まちがってしまいます。クジラを探すには非常に厳しい状況に追い込まれてしまいました。結局9時過ぎになっても、何も発見することができず、漁師さんからも何の情報も得られませんでした。今日は、もう無理だからあきらめて帰ろうと船長さんが言い、みんなも納得して帰ろうとしかけたそのときです!突然前方に浮上したマッコウクジラのブローを船長さんが発見してくれました!


新しい試み!バリアフリー

 この荒れた状況で、クジラを発見できたのはまさに奇跡と言えると思います。少し小さな身体はまだ幼い、クジラの子供のようでした。しばらく海面で休んだ後、尻尾を高らかに上げ、きれいに潜っていきました。たいていこんな小さなクジラが1頭だけでいることは、まずありません。きっと近くに仲間のクジラが潜っているはず!ということでさらに他のクジラがいないか、まわりを探すことにしました。
フルークアップダイブ
 すると、また船長さんが、少し遠く離れたブローを発見してくれました!あんな遠くのブローまで見えるなんて、やっぱりさすがです。かなり船が近づくまで僕には全くわかりませんでした。(^^ゞ その後、さらに2頭のマッコウクジラを発見し、全部で4頭のマッコウに出会うことができました。9時を過ぎた時点で、完全にあきらめてしまっていたので、本当に嬉しかったです!やっぱり最後まであきらめちゃいけないんだなあ・・・。

 港にもどると、他の船長さんも集まって、なにかされているようです。なんと!ウォッチング船に車椅子を下ろすためのはしけのテストでした。そうなんです、今年から南紀マリンでは、車椅子のまま乗船できる船を一隻準備しています。今まで障害をお持ちの方は、色々なことに挑戦する環境が、なかなか整えられていなかったのが現実だと思います。今回のホエールウォッチングにおけるバリアフリーは、おそらく日本初の試みなのではないでしょうか?僕もぜひ成功することを願っています。(^^)

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