水


クジラ日記

2001 5/3 高知県・大方町
船長:澳本 傑

 クジラが消えた!?

 いつの間にかゴールデンウィークに、大方に来るのは習慣になってしまいました。今年でもう4年目になります。大方のホエールウォッチングは、3月下旬から始まっていますが、このGWからがいよいよ本番という感じです。砂浜では、はだしマラソンやTシャツアート展が催され、大方の入野漁港も、たくさんの人で賑わいます。ウォッチング船の数もふだんの3〜5倍くらい出るようです。

 遊漁船主会さんの情報によると、4月中はイワシの群れが土佐湾の中に入ってきており、それを追いかけてきたクジラたちがそこら中で、うじゃうじゃ見えたということでした。どんな状況なのか想像しただけで、ワクワクしてしまいますが、残念ながら連休に入った途端、大雨で四万十川から濁った水が流れ込み、それまでたくさんいたクジラたちが、ばったり姿を消してしまったようなのです。(;_;)

 しかし今日はたくさんの船が出ているので、クジラを探すにはとても心強い状況です。船は湾の中を扇状に広がりながら、クジラを探します。30分ほど経ったころ、早速、無線でクジラ発見の情報が入ってきました。どうやら他の船がクジラを見つけてくれたようです。船は全速力でクジラを見つけたポイントに向かいます。


ニタリクジラ発見!

 前方に船の集団が見えてきました。どうやら先に集まった船がクジラをウォッチングしている模様です。ふつう大海原でクジラを探すときは、クジラのブロー(潮吹き)をたよりに探しますが、今回の場合のように船がたくさんいるときは、他の船の動きを追っていたほうが、クジラを見つけやすいと言えます。他の船が急に方向を変えて、スピードを上げ始めたら、まずその方向にクジラが見つかったと判断してよいでしょう。(^^ゞ

 船の前に目をやると、ニタリクジラが1頭で泳いでいました。ブローを数回繰り返すと、腰を大きく曲げてしばらくは浮上してきません。僕たちの船が到着してからも続々と船が集まり、全部で20隻あまりの船が一箇所に集まりました。クジラのブローが見えると、船長さんたちは自分の船のお客さんに少しでも近くでクジラを見せてあげようと、全速力でクジラに向かって突進します。ウォッチング船同士のバトルが繰り広げられると言っても過言ではない勢いです。マイルカ

 僕たちお客も、できるだけ近くでクジラを見たいと思うのは当然のことで、みんなの気持ちがクジラに突進するという形で現れてしまうのは、残念ですが仕方がないことのように思えます。しかしクジラにとって、たくさんの船が全速力で自分の方に向かってくるのは、決して気持ちのいいものではないのでしょう。浮上するにつれ、船との距離はどんどん離されていき、最後には見失ってしまいました。ある程度のクジラがいて、散らばってくれていると、船も分散して良いのですが、今回のようにクジラが1頭しか見つからなかった場合はつらいです。


海面を跳ねるイルカ

 クジラを見失い、船がバラけ始めたころ、遠くの方で海面がざわついているのを見つけました。船が近づくにつれ、その原因がはっきりわかりました。海面を飛び跳ねるマイルカの群れです!去年よりは少し数が少ないかもしれませんが、それでも100頭くらいはいたんじゃないでしょうか?船の前について、海面をぴょんぴょん飛んでいきます。
イルカウォッチング
 イルカの仲間にも、いろいろありますが、ハンドウイルカのように比較的ゆっくりと泳ぎ、海面からは背ビレと背中ぐらいしか出さないものもいるので、今回のマイルカのように、全身を空中に踊りだして飛び跳ねるイルカは、とっても見応えがあります。それも何10頭という大群なので、かなりの迫力です!

 イルカたちをしばらくウォッチングしていましたが、やはりまた船が集まってくると、次第にイルカたちも姿をあらわしにくくなり、徐々に距離が離れていきました。あまり追い掛け回しても、いいウォッチングはできないので、また次回会えることを祈り、その場を後にしました。

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