水


クジラ日記

2001 5/4 高知県・大方町
船長:西地 美年(午前)  奥本 利美(午後)

 ハナちゃんの棲みか

 今年のGWは、今一つはっきりしない天気が続きます。空もどんより曇っていて、港を出てしばらくすると、風波が立ってきました。この風波がくせモノで、クジラのブローなどと見間違えてしまうので、非常にクジラを見つけにくくなってしまいます。というわけで、クジラをなかなか見つけることができず、気持ちは焦るばかりです。

 船は土佐湾を南下しつつ、クジラを探します。天気が悪いので、海の色が少しくすんで見えます。随分南へ進んだとき、船がかたまっているのが見えてきました。見つけたのはニタリクジラではなく、ハナゴンドウでした。土佐湾の南の方には、よくハナゴンドウが集まっている場所があります。白く傷ついた身体を海面に出し、ゆっくりと泳いでいました。

 子どものハナゴンドウは身体がまだ黒っぽく、船熟するにつれ、体全体に傷がついていくので、大人のハナゴンドウは、とても白っぽく見えます。傷がつく理由は、仲間同士の争いで噛み合ったりするためだと考えられています。ここまで、傷だらけになるイルカ・クジラの仲間はハナゴンドウだけなので、簡単に見分けることができるのです。


ニタリ跳躍!!

 しばらくハナゴンドウをウォッチングした後、別の船からニタリクジラ発見の情報が入ってきました。ものすごいスピードで、教えてもらった場所へ走ります。前方に船が見え、船長さんが前にいるよと叫んだその時でした。突然、海面から巨大な黒いかたまりが飛び出しました。ニタリクジラです!クジラはお腹を船の方に回転させて、そもまま海面に倒れこんでいきました!もちろん、ものすごい水飛沫が上がります!ブリーチの後の水飛沫!

 あまりに一瞬の出来事に、呆然としてしまいましたが、ニタリクジラが、船の目の前でブリーチングしたのです!こちらからはピンク色のお腹が、はっきりと見えました。ひょっとしたら、まだ何回か繰り返すかもしれないと、あたりを見回していましたが、ブリーチングはその1回きりでした。でも、すごいシーンを間近で見られて、本当にラッキーだったと思います。船の上は、しばらく興奮の渦に包まれていました。(^^)

 別の船でもっと前からクジラを見ていた人から聞いた話しですが、このクジラは、ジャンプする前に泳ぐスピードを上げて、海面を滑るようにスイスイと泳いでいたようです。やはりジャンプする前には、何かそれらしい行動をとる可能性が高いようです。いつもとクジラの動きが違うと思ったときは、要注意かもしれません。


遠くで上がる水飛沫

 午後は、出航後一直線に、午前中にハナゴンドウをウォッチングしたポイントに向かいました。午後のハナゴンドウたちは、活発に泳いでいて、船のすぐ前で、全身を躍らせるジャンプも披露してくれました。十分な時間、ハナゴンドウを見た後、またクジラを探しに船を走らせることにしました。
ハナちゃん
 船に寝そべりながら、無線の情報に聞き耳を立てていると、他の船からクジラが跳んだ跳んだ!!という興奮した声が聞こえてきました。何!?と思って、船の向かっている方向に目をやると、はるか遠くの水平線で、大きな水飛沫が上がっているのが目に飛び込んできました。本当に跳んでる!どうやら何回か繰り返しジャンプしているようだったので、船が到着するまで跳ぶのを止めないでと、必死に祈りました。

 しかし祈りは届かず、船が到着したころには、クジラはおとなしくなっていて、普段のように一定間隔でブローを潜水を繰り返すのでした。いや〜本当に残念でなりません。もう少しクジラを発見するのが早ければ、また目の前でブリーチングが見れていたかもしれないのに・・・。ひょっとしたら、午前中にジャンプしたクジラと同じ個体だったのかもしれません。とにかく、大波乱のホエールウォッチングなのでした。(^^ゞ

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