水


クジラ日記

2001 5/12 和歌山県・那智勝浦町
船長:米川さん(午前) 東さん(午後)

 大マッコウあらわる!?

 2週間ぶりに勝浦にやってきました。しかし、風邪をひいてしまったため、少々体調不良です。こんな状態で船に乗るのは、本当はいけないんですが、クジラに会うためなら・・・とちょっと無理をしてしまいました。(^^ゞ 今年も三重大学から、研究生が乗船されるということで、久しぶりに吉岡先生にもお会いしました。

 研究生が乗船するときは、乗船前にクジラについてのレクチャーがあります。クジラの分類から、和歌山で会えるクジラの種類、マッコウクジラの特徴などを丁寧に説明してくださり、みなさん真剣に聞いていました。少しでもクジラのことを知ってから、クジラに会うと、結構なるほどと思えることがあります。こういう機会は、できるだけたくさん作ってほしいなあと思います。

 さて、天気は上々!きのうもマッコウクジラが見えたということで、俄然盛り上がってきました。先日は、成熟した雄の巨大マッコウも現れたと聞き、ますます期待は膨らみます。いくらマッコウクジラが大きいといっても、やはり子どもと大人(特に成熟した雄)とでは、全く迫力が異なります。まだ大マッコウを見ていない方は、ぜひ一度会ってみてほしいです。


ハナちゃんと突きんぼ船

 午前の便では、うねりは少しあったものの、白波はほとんど立っていなかったので、クジラを探すにはもってこいの状況でした。しかし、黒潮の潮目辺りまで船を走らせても、クジラのブローを見つけることはできませんでした。水中マイクを沈め、そっと聞き耳を立ててみても、波の音しか聞こえません。仕方なく船は方向を変え、北東に向かってさらにクジラを探しつづけました。突きんぼ船

 あたりに、ウォッチング船と同じ大きさくらいの漁船がたくさん現れ始めました。よく見ると船の軸先に立ち、細長い銛を構えています。太地のクジラの突きんぼ船です。突きんぼ船は主にハナゴンドウを捕っていますが、このあたりのハナゴンドウは警戒心が強く、なかなか船には近づいてくれません。決して簡単な漁ではないのです。

 僕たちの船も、突きんぼ船から離れたハナゴンドウをしばらくウォッチングしました。しかし、なかなかすばしっこく、とてもゆっくり見ることはできませんでした。ハナゴンドウの写真がばっちり撮れるようになれば、かなりの腕前だと思います。ちなみに僕は・・・・全然ダメでした。(^^ゞ

 帰りの時間が来たので、港に向かうことになりました。そこへ突然、カツオ漁の船からマッコウクジラ発見の情報が入ってきました!朝、折り返してきた地点のさらにすこし沖で見つかったようなのです。残念ながら、今からその地点へ向かう時間はありません。非常に悔しかったですが、午後の便に賭けることにしました。


クジラファミリー

 午後は、大体のクジラの居場所がわかっていたので、そのポイントへ向けて、一直線に船を走らせます。どうやらクジラたちは陸の方に向かって泳いでいたということで、その移動距離も考慮に入れて、一度水中マイクを下ろしてみることにしました。すると、はっきりとカッチカッチカッチ・・・というマッコウクジラ特有のクリック音が聞こえてきました!もうこうなれば、見つけたも同然です。少し移動してから、また2回ほど水中の音を探ると、徐々に音が大きくなってくるのがわかりました。

 いくらこの辺りにいるということがわかっても、クジラが浮上しない限りは、目で見ることはできません。潜水時間が長いマッコウクジラの浮上は、とっても待ち遠しく思いました。30分くらいあたりを見回していたでしょうか、船長さんが突然クジラ見つけたー!と叫びました。そっちの方角を見ても、僕らにはなかなかクジラのブローは見えません。船長さんの目の良さには、本当に参ります。(^^ゞ
親子クジラ
 船をクジラの方へ走らせ、近づこうと試みましたが、船が近づくまでにクジラは尾びれを上げて、潜ってしまいました。その後、何度か同じようなことを繰り返しましたが、なかなかクジラたちは僕らを寄せ付けてはくれません。音に敏感なマッコウクジラたちは、船のエンジンの音が嫌いなのかもしれません。

 しかし、親子のクジラが浮上したときは、船がどんどん近づいていっても、全く逃げる様子もなく、船のすぐそばで悠々と泳いでいました。その後、母親だけ船のすぐ横で尾びれを高々と持ち上げ、すーっと潜っていきました。残された子クジラは、親が潜っている間、海面で遊んでいます。船とはある程度の距離を保ちつつも、横向きになってこちらを見たりして、ちょっと興味がありそうな雰囲気です。もっと機嫌がいいときは、船のすぐそばに擦り寄ってきて、ぐるぐるまわったりすることもあるのですが、この日のクジラはちょっと遠巻きに眺めているようでした。

 その後も、何度かクジラを間近で観察することができ、大満足でした。いくらクジラが大きいといっても、やはりクジラの大きさは、近くで見ないとなかなか伝わりません。目の前で見る尾びれの大きさには、本当に言葉を失ってしまいます。この日は、本当に最高の一日になりました。(^-^)

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