水


クジラ日記

2001 6/2 和歌山県・那智勝浦町
船長:東 信義(午前) 浦山 昌嗣(午後)

 コマッコウ出現!

 いよいよ6月に入りました。これまでのところ、僕の行く週末は一度も欠航になっていません。この調子で、6月中も週末だけは欠航になりませんように・・・。今回、本当に久しぶりに懐かしい人に会えました。かつてこの海でクジラの調査・研究を行っていた神田くん&高橋さんです。お客さんとして乗船するのは初めてだったようで、リラックスして楽しんでいました。(^-^)

 この日の午前は、天気は今ひとつはっきりしませんでしたが、本当にべた凪ぎで、遠くまで見渡せるいいコンディションでした。出航して約30分、最初に見つかったのは、ハナちゃんです。勝浦の突きんぼ船が情報を教えてくれました。しかし、突きんぼ船に追われているためか、思うように近づくことが出来ません。何度かウォッチングした後、さらに沖へマッコウを探しに出発しました。

 続いて見つかったのは、コマッコウです。(マッコウクジラの子どもではないですよ〜。(^^ゞ)最初はハナちゃんかと思いましたが、背ビレの形が少し違うし、同じ場所でじ〜っと漂っていたのでわかりました。コマッコウは臆病で、船が少し近づくとすぐに潜ってしまいます。なので、今までじっくり観察したことがまだ一度もありません。一度くらいすぐそばに近づいて見てみたいものです。


マンタの交尾シーン

マンタ 船はさらに沖に進み、潮の岬を回り、マッコウを探します。少し黒潮が離岸しているようで、水温も22℃程度です。前回、マッコウがいたポイントの水温は24℃以上あったので、マッコウたちはひょっとしたら、もっと沖のほうに移動してしまったのかもしれません。海は非常に穏やかで、クジラのブローが上がれば、すぐにでも見つかるはずですが、結局クジラは現れてはくれませんでした。

 ところが今ごろになって、漁師さんからクジラ発見の情報が入ってきました!しかし場所はずいぶん東の方角で、今からそのポイントに向かっても、到底間に合いそうにない場所でした。残念ながらその場所に向かうのはあきらめて、帰りながら別のクジラを探すことにしました。すると、船の前にいた人が、何か見つけたようで指をさしています。最初はハナちゃんかな?と思いましたが、ひれの動き方が全く違います。船長さんがマンタだ!と叫びました。

 勝浦の沖では、毎年夏になると黒潮に乗ってマンタが回遊してきます。時にはすごい大群に出会うこともあるようですが、今回のマンタは何か様子が変でした。ひれをバタバタと動かして、海面をばちゃばちゃ叩いているようにも見えます。近づくと、なんと2匹のマンタが重なり合うようにして、激しくぶつかり合っていました。船長さんに聞くと、このマンタたちは交尾しているのだということを教えてくれました。
重なりあう2匹のマンタ
 マンタの交尾の瞬間に出会うことは、船長さんでもめったにないそうです。非常に貴重なシーンを見ることができ、船の上は大いに盛り上がりました!すごいスピードで船の反対側に移動したと思ったら、時には身体を海上に躍りだしたり、頭を海面に持ち上げたりして、つぶらな瞳や綺麗な青色のイトマキもはっきりと見えました。僕もこんな激しく動くマンタを見たのは初めてで、とっても興奮してしまいました。30分くらい経っても、マンタたちは変わらず、激しくぶつかり合っていましたが、帰りの時間もありましたので、その場を離れることにしました。


消えたマッコウ

 帰り道、またコマッコウが1頭見つかりました。しかしやはり近づく前に、すーっと潜ってしまいました。コマッコウは潜るとき、腰を曲げるだけで尾びれを上げません。なんとも地味なクジラなのです。コマッコウもやっぱり音に敏感なのでしょうか?シーカヤックならもっと近づけるかな?とかふと考えてしまいました。(^^ゞ

 午後は思ったより風が吹いてこなかったので、、午前中に情報のあったマッコウを探すことにしました。途中、ハナちゃんの大群に出会ったので、しばらくハナちゃんたちを観察しました。午前中よりも激しく泳いでいて、船にも結構近寄ってきたので、見応えがありました。

 その後、マッコウの情報のあったポイントに到着し、水中マイクを下ろして探ることにしました。しかし、聞こえるのは波の音ばかり。マッコウはどこに行ってしまったのでしょうか?前に見た船が教えてくれた時間から、もう40分くらい経ちます。もうそろそろ浮上してきてもいい時間なのですが、いくら探せどもマッコウのブローはまったく見当たりません。おまけにいつの間にか風が強まってきて、海面に嫌な白波が目立つようになってきました。その後さらに1時間くらいクジラが向かっていた方角に船を流しながら、ブローを探しましたが、結局一度もブローを発見することはできませんでした。

 帰り道、見通しの悪い白波の中で、船長さんが珍しい生き物をまた見つけてくれました。マンボウです!マンボウは背ビレだけを海面に、ときどき覗かせながらプカプカと浮かんだり、沈んだりを繰り返していました。船の上からでは、マンボウの形ははっきりと分かりませんでしたが、のんびりした様子はやはりイメージどおりでした。(^^ゞ この日は、マッコウには会えませんでしたが、珍しい海の生き物にあえて、なかなかに満足な一日でした。(^-^)

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