水


クジラ日記

2001 6/16 和歌山県・那智勝浦町
船長:東 信義(午前) 浦山 昌嗣(午後)

 ハンマーへッド現る

 とうとう梅雨に入ってしまいました。これからは欠航が続くのかと思いきや、日頃の行いが良いのかしら(^^ゞ、出航の確認をいただきました。ところが勝浦に到着してみると、ぱらぱらと雨が降っています。結局出航時間になっても、止む気配がなかったので、雨が止むのを待ち、1時間遅れの出航となりました。

 出航してしばらくすると、海面から覗くヒレを発見しました。イルカのように上下に出たり入ったりではなく、横に身体をくねらせて泳いでいます。そうなのです、赤茶っぽい色のシュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク)でした。体長も2メートルほどあり、悠々と泳いでいました。

 しばらくサメをウォッチングした後、さらに沖に向かってクジラを探しに行きました。この日は、なんだか海がざわついているような気がしました。海鳥がたくさん海上を舞い、あちらこちらで鳥山が見られます。鳥山の下には、小魚が群れていて、それを餌とするカツオなどの中型の魚も集まってきます。こんなときは、疑似餌を使ったトローリングをすると、結構カツオやシイラなんかが釣れたりするのです。


持ちつ持たれつ

 鳥の群れを眺めていると、突然捕鯨船からマッコウクジラ発見の情報が入ってきました!その場所は勝浦から20マイル以上と、かなり離れていましたが、ありがたいことに捕鯨船がクジラを見張っていてくれるらしく、全速力でそのポイントへ船を走らせました。

 普段クジラを探すときのスピードとは段違いです!何度も何度も襲いくる水飛沫!前に座っている人たちは、全身びしょ濡れになりながら、必死に耐えていました。(みんな一応レインコートは着ていましたが・・・。(^^ゞ) 沖に進むにつれて、海も荒れてきました。1時間ほど船を走らせたところで、前に背の高い船が見えてきました。捕鯨船です!遠くのクジラも探せるように、高い見張り台がそびえ立っています。

 到着した段階では、クジラは潜ってしまった後らしく、しばらく周りを見渡しながらクジラを探しました。しかし白波がひどく、クジラのブローと見間違ってしまうので、遠くのクジラまではなかなか発見できそうにない状況です。そんなとき、さっきの捕鯨船がクジラのブローを見つけ、その場所を教えてくれました。こんなふうに捕鯨船に情報をもらうこともあれば、逆に捕鯨の対象になっているクジラ(コビレゴンドウなど)を見つけたときには、こちらが捕鯨船に教えてあげたりもします。お互いに持ちつ持たれつの関係なのです。

 早速、クジラに近づくことを試みましたが、残念ながら十分近づくまでに尾びれを上げて潜ってしまいました。その後も、1頭だけマッコウクジラを発見しましたが、残念ながら、すぐ近くで見ることはできませんでした。少し遠かったですが、久しぶりにマッコウの尾びれが見れて、嬉しかったです。(^^)


ザトウ発見!?

 その後マッコウを見つけることはできませんでしたが、ふと気がつくとトローリングしていた針に魚がかかっていました!糸を手繰り寄せると、青く光り輝くカツオでした!その後もカツオは釣れ続け、船の後ろは大いに盛り上がりました!マッコウを見たり、カツオを釣ったりしている間に、船はずいぶん黒潮に流されてしまいました。帰りも全速力で港に戻りましたが、着いたときには12時を回っていました。

 午後も立て続けに乗船です。午前とはコースを変え、東の方に向かってクジラを探しに出ました。しかし行けども行けどもクジラは現れてくれません。午前中にあんなに活発に飛び回っていた鳥達も、海面でプカプカと休んでいます。静かな雰囲気の中、漁船も港に帰っていくため、情報もだんだん入ってこなくなりました。

 あきらめモードに入っていたそんな時、ハナちゃんの群れに出会いました。しかしなかなか近寄れず、浮かんでくる距離も、徐々に船から遠ざかっていきます。とうとう最後には見失ってしまいました。船長さんもあきらめて、港に帰ろうとしたとき、なんと捕鯨船からザトウクジラを見つけたとの情報が入ってきました!しかし距離が遠く、今からではとてもたどり着けないということで、残念ながら断念しました。

 毎年、5月の後半から6月の半ばにかけて、勝浦の近海でもザトウクジラが見つかることがあります。ちょうど南の海から北の海へ向かう通り道にあたるのでしょう。いつかは僕も出会ってみたいものです。(^^ゞ

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