水


クジラ日記

2001 7/14 和歌山県・那智勝浦町
船長: 浦山 昌嗣(午前)


 コビレゴンドウの群れ

 先週は今年初めてクジラをお休みして、仲間とシーカヤックを楽しんできました。こんなときにクジラに会えていたりするとめちゃめちゃ悔しいのですが、どうやら欠航になってしまったらしく、一安心?です。(^^ゞ ここのところ南紀マリンのHPを欠かさずチェックしていて、「クジラ発見情報」に一喜一憂する毎日です。やっぱり自分が行けないときに、クジラに会えたと聞くとすごく悔しいですよね〜。

 さて、2週間ぶりに行くと船長さんが久しぶり!と声をかけてくれます。たった1週飛ばしただけなのに、いやはやでコビレゴンドウす。前日、前前日ともに波が高くクジラに会えなかったみたいなのですが、この日はすばらしいべた凪。船の上は暑くてたまりませんでしたが、クジラを探すには最高のコンディションになりました。しかも久しぶりに3隻全てが出航したので、発見確率もぐんと上がります!

 出航するとすぐに漁師さんから、近くでコビレゴンドウの群れが見つかったと情報が入ってきました。約30分でそのポイントに到着しました。コビレゴンドウたちは30頭くらいの群れになって、ゆっくりと泳ぎながら潜水と浮上を繰り返していました。群れのクジラは比較的小さなクジラが多く、雄の大きなクジラは入っていないようでした。どうやらコビレゴンドウも子どもや雌を中心とした育児集団をつくるようです。



ジンべエザメとの遭遇

 コビレゴンドウの群れを眺めていると、突然前のほうのお客さんが興奮して騒ぎ出しました。クジラたちはそんなに変わった動きはしてないのに何かなあと思っていたら、理由がわかりました。なんと!ジンベエザメが船の下を通り過ぎていったらしいのです。ジンベエザメは背ビレを出さずに泳ぐので、少しはなれているだけでも見つかることはめったにないのですが、今回はたまたま運良く、船のすぐ下を通ってくれたので見つかったのです。
ジンベエザメ
 船長さんが船を上手に回して、もう一度ジンベエザメの近くにつけてくれました。間近で見るジンベエザメは本当に大きく、6〜7メートルくらいあったと思います。船長さんも野性のジンベエザメを見たのは初めてだと言ってみえました。ジンベエちゃんは、船を近づけても気にもとめない様子で悠々と泳いでいたので、何度も大接近することができました!

 海遊館でジンベエザメを見たことはあったのですが、まさかこんなところで本当に会えるとは思っていませんでした。ジンベエと別れてからもしばらく興奮はおさまらず、ドキドキしてしまいました。その後、再びさっき見ていたコビレゴンドウの群れに戻り、しばらくウォッチングした後、沖へ向かってマッコウクジラを探しに出発しました。


スジイルカ再び!

 先に沖に向かっていった仲間の船から、今度はイルカ発見の情報が入ってきました!この日は次から次に本当に盛りだくさんです。イルカ達はかなり速いスピードで泳ぎながら、船の前でジャンプしていました。つい先日も会えたスジイルカの群れです!イルカ達はすこし散らばっていましたが、それでも5、6頭が一斉にジャンプする姿には、見ていてとっても感動してしまいます。
スジイルカ
 それにしてもスジイルカの泳ぐスピードは半端じゃなく早い!船で追いかけるのも大変です。上手く追いついたかなと思っても、巧みに方向を変えて、なかなか近くには寄らせてくれません。やっぱりあれだけ速く泳いでいるからこそ、身体を飛び出させて息継ぎをする必要があるのだと納得しました。

 あまりイルカを追いかけ回すのも、イルカにとっては迷惑かもしれませんので、東に進路を変え、マッコウを探しに行きました。海は本当に素晴らしいべた凪で、クジラのブローが上がれば絶対見つかる状況でしたが、マッコウの気配はまったくありません。これでマッコウに会えたら言うことなしだけど、それは贅沢かもしれないと思ってしまうくらい、ここまででも満足できる内容でした。しかしこの日は、これではまだ終わらなかったのです!


マッコウの大家族

 待望のマッコウクジラ発見の情報が、突きんぼの漁師さんから入ってきました!場所はさっきイルカを見ていたところから南西に向かったところでした。船を走らせる方向が反対方向だったら、もっと早く見つかっていたのになあと悔やまれましたが、まだまだ時間は残っています。到着するまでに潜ってしまうと思いますが、その場所でクジラが上がってくるのを待つことにしました。

 ポイントに到着し、水中マイクを入れて音を探ります。カッチカッチと確かにマッコウのクリック音が聞こえました。間違いなくこの近くに潜っています。あたりには仲間のウォッチング船や突きんぼ船が散らばり、あとはクジラが浮上するのを待つばかりとなりました。浮いたよー!と別の船から連絡が入ってきました。みんな全速力でその方向に向かいます。最初のクジラは十分近づく前に、尾びれを上げて潜ってしまいました。

 しかし、あたりを見渡すとあちこちに別のクジラのブローが見えます。中にはまだ生まれて間もない赤ちゃんのマッコウクジラもいました。何度も頭を突き出し、一生懸命に息継ぎをしている姿が、とても健気でした。あたり一帯に、マッコウのブローが見え隠れし、かなりの数マッコウクジラのマッコウたちが散らばっているようでした。

 ブローが上がる方に向かって船を走らせ、十分近づく前にクジラが潜るというパターンを何回か繰り返しましたが、最後に出会った一頭のクジラは違いました。普通は船を近づけると嫌がって潜ってしまうものなのですが、このクジラは船の方に向きを変え、なんと向こうから近づいてくるではありませんか!船のすぐそばを横向きになって通り過ぎては少し潜り、また向こうから近寄ってくるということを何回も繰り返してくれました。クジラの動きに合わせて、船の上の人たちもあっちへ行き、こっちへ行きの大騒ぎでした。

 このクジラ、一度はなんと尾びれを振り上げ、海面を叩くという珍しい行動も見せてくれました。30分以上ずーっと船の近くについて泳ぎ、何度もすぐそばまで近寄ってくれるので、クジラの大きさを本当に目の前で感じることができました。この日、船に乗った人たちは一生忘れられない思い出ができたに違いありません。本当に最高のウォッチングでした。ただ一つ残念なことは、帰る間際にこのマッコウが船の後ろでジャンプしたのを見逃したことです。やっぱり最後まで気を抜いちゃいけませんね。しかし、本当に感動しました。何度も足を運んだ甲斐がありました!(^^ゞ

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