水


クジラ日記

2001 7/21 高知県・大方町
上川口漁港出航


 クジラ調査船!

 大方に来て2日目です。じつは前日から水産庁の木白さんがクジラの調査に大方にみえていて、船主会さんの計らいで、僕たちもいっしょに調査船に乗せてもらえることになりました。調査船は2隻出ていて、僕たちは木白さんの船に乗せてもらいました。メンバーは他に、カメラマンで誰よりも高知のニタリに詳しい徳広さん、大阪から研修にやってきている遠山(の金)さん&條さん、そして船長さんになりました。

 調査の目的は主にクジラの個体識別で、ニタリクジラの場合、背ビレの形や傷などで同じ個体かどうかを判断しています。今回のメンバーの徳広さんは、クジラの背中を見ただけで、いともたやすくどのクジラかを言い当ててしまうほどのクジラ通です。おまけに何年の何月何日に見たのと同じクジラだとか、思わず何でわかるの?と言いたくなってしまうようなことまではっきり憶えていて、いつも驚かされてしまいます。まるでクジラたちのお父ちゃんみたいです。(^^ゞ

 上川口港出航ということで、宿から自転車では少し遠かったので、船主会の埜下さんに無理を言って送ってきてもらいました。埜下さん感謝です!今回は調査船ということで、大方の旗の他に、水産庁の旗も立てて出発です。調査は一日中行われるため、お昼のお弁当も持って乗船しました。お昼に港へ帰らないのは、無駄な移動時間がなくなるので、僕としてはとってもありがたかったです。


鳥山とマイルカ

 出航すると港のすぐ前のところに、船がかたまっていました。どうやら、もうクジラを発見したようです。それにしてもこんなに港の近くでクジラを見つけるのも珍しいです。息が長いクジラで、待っても待ってもなかなか浮上しないので、あきらめて沖へ出発しようとしたとき、やっとクジラのブローが上がりました。このクジラ、なかなか観察するのは難しそうだったので、一度見ただけで沖の方に、別のクジラを探しに行くことにしました。

 途中、シュモクザメの子どもが海面近くを泳いでいる姿に会ったりもしました。沖へ向かうと鳥の数が増え始め、前方に大きな鳥山ができているのが目に入りました。鳥山の下では水飛沫も上がっていて、どうやら何かいるようです。なんとニタリクジラマイルカたちが、ミズナギドリといっしょになって餌の小魚を捕らえている場面でした!鳥とイルカが入り混じって海面に群がっている様子は、なかなかに迫力がありました。イルカも素早く方向を変えながら、魚を追いかけていて、いつもと違う動きについつい見とれてしまいました。

 しばらくイルカと鳥たちの群れを観察した後、ニタリクジラ発見の情報が入ってきたので、そちらの海域に向かうことにしました。ポイントに到着すると、すでにウォッチング船がいっぱい集まっていました。しかしもうお昼前だったので、次第にウォッチング船は港へ帰っていき、最終的には調査船2隻のみが残りました。やはりお昼に帰らなくてもいいというのは、大きなメリットだと感じました。ここのニタリクジラは2頭ペアで仲良く並んで泳いでいました。2隻の船しかいないとクジラも安心するのか、同じ海域をしばらく回りながらゆっくりと泳いでいました。


最後はハナちゃん

 このニタリクジラたちも息が長く、一度腰を折って潜ると12分くらいは上がってこなかったので、タイミングを見計らって僕たちもお昼ご飯をとるとるにしました。しかしこんなときに限って、クジラが早く上がってきたりするので、じつはゆっくりご飯を食べることもできませんでした。(^^ゞ しばらく観察した後、このクジラたちを見失ってしまったので、また別のクジラを探しに出発しました。ハナちゃん

 しかし午後からはクジラの影はおろか、他の船からの情報も全く入ってきません。かろうじてハナゴンドウの情報が入ってきましたが、調査の目的のクジラとは違うクジラなので、そのままニタリクジラを探索しつづけることになりました。結局この日は、夕方近くになっても他のニタリクジラは見つからず、ゆっくりと陸沿いに船を走らせながら、帰路につきました。

 もうこのまま何も見えないのかなあと思ってあきらめていたところ、大方の港に後一歩というところで、ハナゴンドウの群れが見つかりました。少しの時間でしたが白い傷だらけのハナゴンドウたちがゆっくり泳いでいる姿に会うことができました。本当はもうちょっとクジラに会いたかったのですが、見つからないんじゃ仕方ないですね。また次回に賭けることにします!

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