水


クジラ日記

2006 5/21 和歌山県・那智勝浦町
船長: 米川 亮治


 今回は、カヤック仲間たちと南紀に行ってきました。もちろんクジラウォッチングがメインでしたが、他にも楽しい要素盛りだくさんの素敵な旅でした。行きに寄った熊野の夏紀丸では、季節限定の岩ガキ定食をいただきました。びっくりするくらい巨大な岩ガキが山盛りで、しかもお値打ち。すごく美味しかったです。ここのおじさんがとてもユニークで、巨大岩ガキ以上に印象に残っています。(笑)

 その後、那智山の熊野古道、大門坂を歩いて上り、熊野那智大社、青岸渡寺へとお参り。明日はたくさんクジラに会えますように・・・とお祈りしてきました。那智の滝はいつ見ても美しく、今年はここの所雨が多かったせいもあり、水量が豊富で大迫力でした。

 翌日は風も波もない最高のコンディションでのクジラウォッチングになりました。イルカの情報やコビレゴンドウの情報が次々と漁船から入ってきます。突きんぼ船が集まっている場所で、数種類のイルカを観察。残念ながらあまり船には近づいてくれませんでした。そんなとき、近くでシャチ4頭が見つかったという情報が入ってきました。急いでそのポイントへ向かいましたが、結局シャチにお目にかかることはできませんでした。

 鏡のような海を眺めながらクジラを探していると、前方にコビレゴンドウの群れが見えてきました。小さな子供から巨大な雄まで30頭くらいがひとつの家族になって群れを作ります。そんなコビレゴンドウの群れに2つか3つ出会いました。しかし、この後も肝心のマッコウクジラの情報はなく、時間だけが過ぎていきました。

 今日はもう終わりかな・・・と半分あきらめかけていると、突然すごい勢いで船が陸の方へ向かって走り出しました。もしやと思って船長さんに尋ねると、陸のすぐ近くでセミクジラかザトウクジラが見つかったらしいと教えてくれました。まさか最後にこんなすごい出来事が訪れるなんて!はやる気持ちを抑えて、船の進む方向をじっと見つめ続けました。

 すると勝浦の沖わずか2kmくらいのところに船が何隻か集まっているではありませんか!まさかこんな近くに現れるなんて信じられません。でも彼(彼女?)はそこにいたのです。それは私が生まれて初めて出会ったクジラでした。ブローは全く見えず、身体もあまり海面上には出てきません。背中が見えても背ビレは見当たらず、尻尾も上げてくれません。近づいて頭を見たとき、コブ状の隆起がはっきりと確認できました。間違いなくセミクジラでした。

 南紀では、今年の5月5日にもセミクジラが目撃されており、私は同一個体だろうと思っていましたが、前回の個体は今回のものより数倍大きかったと船長さんがおっしゃられたので、全く別の個体だということがわかりました。まさかひと月の間に2頭もセミクジラが目撃されるなんて、普通じゃ考えられません。今年の南紀は、何かが違います!



以下の写真は、全てこの日に撮影しました。

高台の上からクジラを探す米川船長。
ここで船の操縦から無線連絡まで行えます。
360度見渡すことができ、とても素晴らしい眺めです。
今年も調査のために、かがりちゃんがやってきました。
一生懸命クジラを探しつつ、時には船酔いしてしまった
お客さんのお世話などもしてくれます。
雄のコビレゴンドウの背中はボコッと盛り上がっていて、
背ビレも他のクジラに比べて一際大きいです。
なんだか男らしさを感じてしまいますね。
この日、絶滅危惧種のセミクジラに遭遇しました。
10年間、南紀に通い続けて初めてのセミクジラです。
まさか本当に会えるなんて・・・。(感涙)
その名の通り背ビレのない、美しく滑らかな背中。
背美クジラの大きな特徴です。
一定の速度で、南の方へ向かって泳いでしました。
ホテル浦島の右に見える白いすじは、那智の滝です。
海からでもはっきりと見えるくらい大きな滝なのです。
今回の強運は、那智大社にお参りしたおかげかもしれません。(^^ゞ



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