水


クジラ日記

2007 5/27 和歌山県・那智勝浦町
船長: 東 信義


 貸切ツアー2日目です。飛行機のアクシデントに見舞われて前日乗船できなかった参加者が加わり、メンバーが少し交代してのウォッチングになりました。この日は早めに帰港する必要があったため、早朝6時に出港しました。朝の海は穏やかで、ずーっとこのままの状況が続けばいいのになぁと願いました。

 沖に船を走らせていると、見覚えのある白波が目に飛び込んできました。イルカがつくる波です!近づいていくとハイジャンプを繰り返しているイルカがいます。バンドウイルカでした。近くには突きんぼ船が数隻集まっており、白いブイが海面に浮かんでいます。そのなかの1隻が船首波に乗っているイルカ目掛けて真下に銛を突き立てる瞬間を目の当たりにしました。この海では日常的に見られる光景です。

 そうこうしているうちに少し先にコビレゴンドウがいるという情報が入ってきました。バンドウイルカよりも一回り大きく、背ビレに特徴がある中型のクジラです。10頭前後が一緒に泳いでいる姿を何度か目にすることができました。その後ハナゴンドウの群れにも出会い、いよいよマッコウクジラを探しにさらに沖に出ることにしました。

 最初に発見したマッコウクジラは若い雄のクジラのようでした。マッコウクジラの雄と雌は、背中から頭にかけての盛り上がり方と、背ビレの形状の違いで判断しています。頭部が背中よりも盛り上がっており、背ビレがつるっとしているのが雄で、雌は逆に頭の部分が反り下がっていて、背ビレにタコのようなブツブツがあるのが特徴です。もちろん成熟した雄は身体の大きさも桁違いに大きいので一目瞭然なのですが、まだ若い固体の場合はだいたいこんな感じで判断しています。

 この日のマッコウたちは昨日のように群れでかたまって行動しておらず、ほとんどが単独で泳いでいました。徐々に風も強まってきて、海面が波立ってきました。マッコウには何度も接近するのですが、浅く潜るだけで尻尾を全く上げてくれません。相手も嫌がっているようでしたので、別のクジラを探しに陸の方へ向けて船を走らせることにしました。水中マイクのおかげでマッコウが近くにいることは把握できるのですが、海が荒れているためブローを見つけるのも一苦労です。

 もうそろそろ帰らないといけない時間になってから見つかった子供のマッコウクジラがなんと船の前方でブリーチングをしました!しかし私は船の横側にいたため、その決定的瞬間を見逃してしまいました。(泣) 尾びれまで海面に出てすごく綺麗に飛んだと後で教えてもらいました。(さらに悔し涙) その後もそのクジラの激しいパフォーマンスは続き、尾びれを振り上げて海面に飛び出したり、ブリーチングも合計6回くらいしました。後のほうは私もしっかり自分の目で見ることができました。(^^)v この間、船上が大興奮に包まれたのは言うまでもありません。最後の最後で最高のプレゼントをいただきました。

 遠くから参加してくださったみなさん、ご協力いただいた南紀マリンの船長やスタッフの方々、大変お世話になりました。またぜひ来年もこの企画ができることを願っております。本当にどうもありがとうございました。


以下の写真は、全てこの日に撮影しました。

コビレゴンドウの家族です。小さな子どもから
巨大な背ビレを持つ雄まで数十頭が一緒に行動しています。
若い雄マッコウのスパイホップ。よく見ると頭には
たくさんのイカの吸盤の痕が!
この日綺麗なフルークアップを見たのは3回だけでした。
後のクジラは尾びれを全く上げてくれなくなりました。
大迫力のフルークアップ!
波の来るタイミングが良いと尾びれがぐんと上がります。
昨日よりも風と波が強くなってきました。
ブローが風で流されていきます。
揺れる船上で身体を固定するのも大変です。
ウォッチング時間も残りわずかになった頃、
突然1頭のクジラがブリーチングを始めました。
こんなに近くで何度も見たのは初めてで、大興奮しました!



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