水


クジラ日記

2008 5/17 和歌山県・那智勝浦町
船長: 東 信義


 待ちに待ったこの日がやってきました。毎年恒例の南紀クジラツアー!全国からクジラ好きの仲間たちが集い、1日船を貸切ってウォッチングするという贅沢な企画です。ちょうどこの週末、沖合を台風が通過するということで冷や冷やしましたが、思ったよりも影響はなく無事出港できる運びとなりました。しかも前日はマッコウクジラの群れに遭遇したと聞き、弥が上にも期待は高まります。

 出港してみると海はベタ凪、台風のうねりもほとんど感じられませんでした。1時間くらい経った時に海面に背ビレを見つけました。近づくとハンマーのような独特の頭でシュモクザメだとわかりました。いつもだとすぐに逃げてしまうのですが、この日は船と併走してくれてじっくり観察することができました。水面も静かだったので、水中の姿をきれいに見ることができました。

 シュモクザメと別れた後、すぐにまた別の背ビレが見えてきました。今度は同じ場所でプカプカしているので、船長さんたちから「ぽっかりさん」と呼ばれているオガワコマッコウでした。2頭いましたが彼らは非常に警戒心が強く、この日も近づく前に潜ってしまいました。

 その後、さらに沖にクジラを探しに行くと、漁を終えて帰る途中の太地の捕鯨船とすれ違いました。船長から今日はコビレゴンドウを3頭仕留めたらしいと聞かされていましたが、確かに船の後部にコビレゴンドウの尻尾がロープで縛られているのを確認できました。さらにデッキ後端からはコビレゴンドウの大きな頭も覗いていました。

 突きん棒船からスジイルカの情報をもらったので、そのポイントへ向かいます。しかし漁が始まってしまうとイルカたちは警戒してなかなか船を近寄らせてはくれません。最初は遠くを飛び跳ねるスジイルカを眺めるのが精一杯でした。中にはジャンプしながらテールスラップで威嚇する個体もいました。しかし、船長さんの緻密に計算された操船技術で徐々にスジイルカたちとの距離が縮まっていきます。最後には船のすぐそばでジャンプする姿も見られ、粘りに粘ってイルカを見せてくれた船長さんの腕前に感動しました。(^^)

 スジイルカたちと別れ、マッコウクジラを探しましたが、他の船からの情報もなく、結局この日は見つけることはできませんでした。明日の大逆転に不安と期待を膨らませ、眠りに突いた1日目でした。


以下の写真は、全てこの日に撮影しました。
その他の写真はこちら


今回からGPSで航路のログを取ることにしました。これでクジラが見れた場所が一目瞭然ですね。
上から順にシュモクザメ、コマッコウ、捕鯨船、スジイルカの見れたポイントです。
英名はハンマーヘッドシャーク。
こんなにくっきりと姿が見れたのは初めてです。
オガワコマッコウはシャチの大好物らしく、
彼らが見え始めるとシャチが回遊してくるといいます。
太地の捕鯨船。捕まえたクジラは生ものなので、
鮮度が落ちないように全速力で港に戻ります。
今回もスジイルカの群れに出会うことができました。
彼らのジャンプは何度見てもきれいですね。(^^)



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