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クジラ日記

1999 5/8 和歌山県・那智勝浦町


 今のところ100%!?

 先週に引き続き、またしても勝浦に行っていきました。僕の住む三重県久居市から勝浦までは、夜中だと車で3時間で行けます。眠い目をこすりながら、朝の2時ごろに家を出発して、ひたすら車を走らせ、5時ごろに到着です。宇久井漁港の前の海を眺めていると、ちょうど太陽が立ち昇ってきました。きれいな赤い朝日でした。

 ぼーっと海を眺めながら、朝ご飯を食べていたら、船長さんがやって来ました。あいさつを交わし、この1週間のクジラの様子を聞いてみました。すると、今のところ100%クジラが見れているという事でした。中にはマッコウクジラが次から次に見れたり、カズハゴンドウが1000頭近い群れで目撃された日もあるということでした。

 この状況で期待せずにはいられません。僕は今度こそマッコウクジラに会えることを確信しながら、船に乗りこみました。この日は土曜日だというのにお客さんの数が少なく、午前中は1隻のみの出港となりました。クジラを探すのは、1隻だけだとちょっと心細いですが、漁師さんからの情報も得られるので大丈夫です。それに1隻のほうがクジラを脅かさないので、じっくり会えるのです。


マッコウ大接近!

 海は少し波がありましたが白波も無く、かなり遠くまで見渡せる、いい状況でした。出港して30分くらいたったころです。遠くの方に白い煙が見えました。目を凝らして、その場所を再度見つめていると、同じ場所からまた、白い煙が立ち昇りました。マッコウクジラのブロー(噴気)です!はやる気持ちを抑えながら、船はクジラがブローしているところに向います。
逆行にきらめくマッコウのブロー
 少しずつ、クジラが近づいてくるのがわかりました。近づくとクジラは1頭だけではなく、少し間隔をおいて全部で3頭くらいいることがわかりました。クジラのそばまでたどり着くと、船はスピードを落として、ついにはエンジンを切ります。マッコウクジラは水面にいるときは、ほとんど移動しないため、船を動かす必要が無いのです。すこし遠くからクジラを眺めながら、もっと近くにおいでと呼んでみました。

 するとクジラは大きな頭をもち上げて、本当にこっちに近づいてくるではありませんか!胸がどきどきです。そのままクジラは船の前を横切るように回り込み、後ろに向かって泳いでいきました。間近で見るマッコウクジラの大きさに、船の上に歓声が沸き起こります。いきなりの大接近で、みんな大興奮です。


絶え間無いブロー

 クジラたちが、しっぽを高らかに上げて潜った後、しばらく同じ場所で、他のクジラが浮上してくるのを待つことにしました。マッコウクジラはある程度の集団で生活することが多いため、他にもクジラがいる可能性が高いのです。まわりを見渡していると、またもやブロー発見です!船を近づけ、クジラの進む方向に合わせて、エンジンを止めます。船長さんはクジラの動きをよく理解していて、ちょうどいい位置に船を止めてくれるので、安心で尾びれを高々と上げるマッコウす。クジラもあまりびっくりせずに、近寄れるのです。

 そんな船長さんのおかげもあって、この日は何度もクジラのすぐそばまで近づくことが出来ました。船のすぐ横に並んで泳ぐ、マッコウクジラの姿を何度目にすることができたでしょう。やっぱり目の前で見るクジラの姿は格別です。その大きさは言葉では言いあらわせません。それほどの感動があります。

 クジラが潜っても、すぐにまた別のクジラが浮上するので、本当にきりがありません。何度も何度も、潜っては現れるクジラたちを眺めながら、本当に来て良かったなあと、喜びを噛みしめていました。約2年ぶりにマッコウクジラたちに会うことができて、大満足の一日でした。

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