水


クジラ日記

1999 5/22 和歌山県・那智勝浦町


 鏡のような海

 ここのところ毎週のように和歌山に来ています。さすがにちょっとしんどい日もありますが、クジラに会えると思えば何のその。疲れなんか吹き飛んでしまいます。マッコウクジラは今日もまだいてくれるだろうか、期待と不安を胸に抱き、和歌山を目指します。

 今日の和歌山は曇り空、しかし波はほとんどありません。こんなべた凪の日も珍しく、とてもクジラを発見しやすい状況でした。昨日は、子供のクジラが、船の周りを30分くらいずっと周ってくれたそうで(お母さんと間違えたのかなあ)、とても悔しかったのですが、今日もその可能性はあるはずです。期待に胸はふくらみます。

 50分ほど経ったとき、仲間の船が1頭のマッコウクジラを発見しました。直ちにその場所へ向います。遠くに白いブローが立ち昇るのが確認できました。ところが、船が近づくまでに、クジラは尾を上げて潜ってしまいました。マッコウクジラは、こうなるともう30分以上は浮上しません。少しずつ船を進めて、別のクジラを探しに出ました。


巨大な雄マッコウ

 しばらく船を走らせながら、クジラの噴気を探していましたが、クジラの気配は全くありません。30分ほど過ぎたときに、再び仲間の船から連絡が入りました。マッコウクジラが浮上したそうです。場所はさっきのクジラが潜っていったところのすぐ近くということです。船がそのポイントにたどり着くと、クジラはまだ浮かんでいました。その上、周りにも他のクジラが浮上してきました。1頭だけじゃなかったのです。

 中には、まだ生まれて間もないと思われる、赤ちゃんクジラの姿も見られます。赤ちゃんクジラのブローは頼りなく、高さも低いし、まるで消えていきそうな感じでした。それでも近くで見ると、かなりの迫力があるので驚きです。潜っていくときも、ちょこんとかわいらしい尾っぽでした。
雄マッコウのブロー
 たくさんのクジラを見ましたが、その中でも、とりわけ大きなクジラが1頭いました。船長さんの話では、ハーレムのボスである雄の成熟したクジラとのことでした。ブローは本当に力強くて、高くまで上がり、身体なんて、さっき見た赤ちゃんクジラの何倍もあります。身体の幅も広く、マッコウクジラ特有のシワがびっしりと刻み込まれています。その存在には威厳が感じられるほどです。ものすごい迫力でした。

 かなり近くまで近寄ることができましたが、その後大マッコウは、尾びれを天高く持ち上げ、深々と潜っていきました。尾びれも他のクジラとは比べようがないくらい、巨大で立派なものでした。このような大マッコウは、1年のうちでも、そう何回も見られることはありません。ほんの短期間だけ、雌たちの群れに合流し、繁殖活動を行っているらしいとのことでした。


赤ちゃんクジラ大接近!

 この日のマッコウクジラは、本当に数が多く、周りをクジラに囲まれるなんていう、とてもぜいたくな体験ができました。3頭並んだクジラが、しばらく海面で休んだ後、同時に尾びれを上げて潜っていく姿なんかも目撃しました。
上から見たマッコウの子供
 午後には、赤ちゃんクジラがたくさん見つかり、船のすぐ隣に並んで泳ぐ姿に何度も出会いました。赤ちゃんといっても、その身体は6、7メートルくらいあり、近くで見るとすごい迫力です。船の高いところに上って見ると、水面下の姿までくっきりと見えました。赤ちゃんクジラは、船の横で横向きになったりと、とてもかわいらしい仕草を見せてくれました。

 ほんの短い間でしたが、すごく密度の濃いホエールウォッチングになりました。去年は何回来ても、結局マッコウに会えなかったのですが、今年は来るたびにマッコウクジラに会えています。このまま来月になっても、この海に残っていてくれることを願いつつ、帰路につくのでした。

トップへ クジラの海へ トップへ クジラ日記トップ

水
inserted by FC2 system