水


クジラ日記

1999 5/29 和歌山県・那智勝浦町


 大マッコウ見失う

 今年の5月は本当にクジラが多かったです。僕自身は週末しか船に乗っていませんが、それでも毎回マッコウクジラに会うことが出来ました。船長さんの話では、その他の日もほとんど毎日のようにクジラに会えていたそうで、今年は本当に当たり年だなあと実感しています。

 さて今日は少し波があるため、沖まで船を出すことが出来そうにありません。近くにマッコウクジラがいてくれるといいのですが・・・。そんな風に考えながら船を走らせていると、仲間の船からクジラ発見の連絡が入りました。急いでその場に向います。

 ところがあたりを見まわしても、クジラの姿は全く見当りません。見つけた船長さんも、突然見失ったそうです。普通クジラが姿を消すときは、尾びれを上げて潜ったときなのですが、このときは尾びれを上げずに、突然姿を消したそうなのです。その後近くの海を1時間以上ずっと探していたのですが、結局クジラが姿を見せることはありませんでした。

 マッコウクジラは普通、何頭かの群れを作っているものなのですが、このクジラは単独で行動していたようです。ブローも大きかったということですし、成熟した雄のマッコウクジラだったのでしょう。会えなくて非常に残念でした。


シワハイルカ現る

 クジラを探していると、突然イルカが現れました。イルカは動きが素早く、海面上には背ビレがちょびっとしか見えないので、見つけるのは結構大変です。ジャンプでもしてくれると、わかりやすいのですが、どうやらこのイルカたちは、ゆっくりと泳いでいるようでした。

 背ビレだけでは、何イルカか判断するのは難しいのですが、ときどき見えるあごのところが、白くなっていたので、どうやらシワハイルカだということがわかりました。この海では、結構シワハイルカに会えます。あまり近づくのは難しいのですが、海面を泳ぐ姿を何度か目にすることが出来ました。

 いくら待ってもマッコウクジラは浮上しません。どこか遠くへ行ってしまったのでしょう、あきらめて帰路につくことになりました。港まであと少しというところで、船長さんが突然クジラを発見しました。1頭のクジラが、かなり速いスピードで、海面を移動していました。ハナゴンドウにしては少し大きく、頭の形からオキゴンドウだということがわかりました。

オキゴンドウ オキゴンドウは身体が細長く、まるでキュウリみたいな形をしていることから、キュウリゴンドウとも呼ばれています。活発にジャンプをしたり、魚を追いかけたりしていました。中には親子で並んで泳ぐオキゴンドウもいました。そしてついには、1頭のオキゴンドウがどんどん船に近づいてきました。船の先端から下を覗くと、水面下の姿がはっきりと見えました。その後、そのクジラは鼻から泡を吐いて、去っていきました。


群れになったオキゴンドウ

 その日の午後、まずは午前中に見つけたオキゴンドウ水面下のオキゴンドウを、もう一度探すことになりました。船を走らせていると、さっそく黒い背ビレが見つかりました。しかも今度はバラバラではなく、かなりの数のオキゴンドウたちが群れをつくっています。周りの海を見渡すと、あちこちにオキゴンドウたちの群れを確認することが出来ました。

 ゆっくり泳いでいる群れもあれば、頻繁に潜水を繰り返し、魚を追いかけている群れもあります。その群れに近づくと、1頭のオキゴンドウが口にシイラをくわえたまま、船にどんどん近づいてきました。彼は魚を見せびらかしに来たのでしょうか?その仕草がとてもかわいらしかったです。その後船の真横で水飛沫をあげて、潜っていきました。

 結局この日は、その後波が少しおさまってきたので、沖まで出ることができ、マッコウクジラの群れにも出会うことが出来ました。船の下から突然現れたので、かなりびっくりしましたが、何とかお互い無事にすみました。やはり何頭かの群れで、先週見たクジラの群れと同じかもしれないと思いました。他にハナゴンドウにも会えたし、この日は本当にいろんなクジラやイルカに会えました。

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