水


クジラ日記

1999 6/5 和歌山県・那智勝浦町


 マッコウが消えた!?

 例年だと5日くらいマッコウが見えたら、その後3日は見えないということが多かったそうですが、今年に限って言えば、5月からほとんど休むことなく見えています。でもいつその反動がやってくるかと思うと、とても恐いのです。

 結局5月中は、毎週マッコウクジラに会うことが出来ましたが、6月はどうなるのでしょうか?突然いなくなってたらどうしよう、そんな不安が頭をよぎります。まだクジラたちがいてくれることを願いつつ、那智勝浦に向うのでした。

 最近は土曜日になると予約がいっぱいで、前から予約しておかないと、船に乗れなくなってしまいました。今回も午前中は満員だったので、午後からの乗船のみとなりました。それでも夜ゆっくり寝れるのは嬉しいことです。余裕を持って到着しました。さっそく船長さんに午前の様子をうかがうと、昨日からマッコウが見えていないということでした。


またもシワハイルカ

 マッコウたちは徐々に沖の方へ離れていっているらしく、どうやら黒潮の中まで入ってしまったようです。この日は黒潮に入ると波がかなりきつく、船がすごく揺れる上に、白波のせいでクジラのブローを見つけるのは至難の技という状況でした。もうこれではクジラを探すどころじゃないということで、仕方なく黒潮の手前で探すことになりました。

 2時間以上海を眺めていましたが、クジラのブローはまったく見つかりません。やっぱりマッコウたちは黒潮の中に戻っていってしまったようでした。おまけにハナゴンドウやイルカたちですら、まったく姿を見せないのです。今日は、坊主かなあとあきらめかけたとき、仲間の船から連絡が入ってきました。

 イルカを見つけたから、こっちにおいでとシワハイルカ1いうことでした。イルカでも何も見えないよりは、ずっといいです。船はスピードを上げ、そのポイントに向いました。そこにたどり着くと、仲間の船の前に数頭のイルカがいるのが見えました。どうやらシワハイルカのようです。

 シワハイルカは、船になかなか近づいてくれないはずなのに、今日は結構近くにいるなあと思っていると、こちらの船の前にも現れました。今日はたくさんのイルカたちが、群れをつくってあたりに散らばっているようでした。


イルカたちの大接近!

 イルカたちの群れの方に船が近づいていくと、イルカたちは逃げるどころか船の前に集まってきます。軸先から下を覗くと、一生懸命船にくっついて泳いでいる姿が見えました。こんなことは初めてです。交代で船にやってきては、一緒に泳いでいくイルカたち、白い斑点からシワハイルカだということがはっきりと確認できました。

 前ばっかり見ていると、後ろで水飛沫の音が聞こえてきました。振り返るとイルカがジャンプしていました。それから今度は、尾びれを振り上げ、海面をたたいたりもしています。イルカたちがこんな活発なことも本当に珍しいことです。
シワハイルカ2
 今度は、イルカと並んで1頭のハナゴンドウが船の前にくっついてきました。ハナゴンドウは警戒心が強く、船について泳ぐことなんてめったにないのですが、イルカといっしょに泳ぐ姿を目の前でじっくり観察することが出来ました。捕鯨船にとってみれば、あんなに狙いやすいハナゴンドウもいないでしょう。いつか捕まってしまうかもしれないと思いました。

 結局その日は、ハナゴンドウたちが魚を捕まえている場面にも出会いましたが、マッコウクジラに会うことはありませんでした。仲間の船は、大きなマンボウにも会えたといっていましたし、近くにいた漁師さんの船では、なんとジンベイザメが船の下をしばらく泳いでいたとも言っていました。本当にこの海では、いつ何に出会えるか分かりません。また何かに驚かされるのを期待しつつ、今月も勝浦通いは続きそうです。

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