南国、土佐の海の沿岸には、ニタリクジラが住み着いています。ニタリクジラは、この近海に年中いるので、他の場所と比べると見られる期間はかなり長いです。時には、岸のすぐそばをクジラが通り過ぎてくなんてこともあるんですよ。
会えるクジラ | ニタリクジラ・マイルカ オキゴンドウ・ハナゴンドウ |
会える時期 | 3〜10月 |
[2度目の挑戦] [のんびりウォッチング] [海をうめつくすイルカ] |
[美しい身体が踊る!] [よりよいウォッチングへ] |
小笠原、和歌山と、クジラを追いかけてきた僕が、次に選んだ場所は高知県の大方町です。大方町は、四万十川で有名な中村市のすぐ隣の町です。ここではニタリクジラという、あまり聞きなれない名前のクジラに逢えると聞き、やってきました。実は前の年にも、ここに来たのですが、そのときは運悪くクジラには逢えませんでした。今回は、2度目のチャレンジです。
僕の場合、大方町へ行くには、いつも大阪から夜行バスで高知駅まで行き、その後電車に乗り換えて、土佐入野駅というところまで行きます。電車からは、土佐の海を見渡すことができ、とてものんびりした気分で行けます。大方町には、いくつか出港場所があるのですが、普通は入野漁港からの出港になるようです。
高知では、大方町の他にも佐賀町、土佐市宇佐などからも、船が出ているのですが、どこから乗っても結局は、だいたい同じところでのウォッチングになるようです。僕はいつも、慣れた大方町遊漁船主会に予約しています。その他の場所の情報は、WHALCOさんのページで確認してください。
船長さんの指示どおりに、ライフジャケットを身に着けます。こちらも和歌山と同様、普段は漁師をされてる方が船を出してくれます。クジラ見れるといいねえ。船長さんの奥さんに笑顔で見送られ、いよいよ出港です。
この日は、意外と早くクジラを発見できました。港からそんなに遠くないところにクジラがいると、無線連絡があったのです。その場所にたどり着くと、確かにいます。ニタリクジラです。全部で3頭いました。今日は、ぽかぽか陽気で気分がいいのか、非常にゆったりと泳いでいます。僕らも、のんびりウォッチングです。
ニタリクジラも、ザトウクジラに似た泳ぎ方をします。5、6回呼吸を繰り返した後、数分間潜り、しばらくして少し離れたところに浮上します。潜り方が浅いせいか、ニタリクジラはいつも尾を上げずに潜っていきます。尾を上げる瞬間を期待して来た人たちは、すこし残念そうでした。それでも、流線型の滑らかな身体は、見ていてうっとりするくらい美しかったです。
船の前をニタリクジラは、どんどん陸に近づいていきます。岸には、釣り人がたくさんいました。彼らも目の前を通りすぎていくクジラの姿に、ずいぶん驚かされたことでしょう。しばし、クジラに別れを告げて、今度はイルカを探すことになりました。ここでは、マイルカというイルカが、数百頭という群れでしばしば目撃されるというのです。
噂では聞いていましたが、そんなにたくさんのイルカの群れなんて想像がつきません。まさか、この日イルカにまで逢えるとは、夢にも思ってなかったのです。船の前の方をじっと見ていると、海面がなんだかざわついているようです。遠くからだとよくわからなかったのですが、近づいてみて初めてわかりました。これが、マイルカの群れだったのです。
うわーっと船に歓声がわき起こります。あたり一面の海をうめつくすほどのイルカたち。それも、みんな海面をぴょんぴょん飛び跳ねています。うわあ元気だなあって、見ているこっちも嬉しくなってきます。いつまでもこの群れを見ていたかったのですが、そうはいきません。またニタリクジラ発見の情報が、入ってきました。今度のクジラは、かなりアクティブだというのです。急いで船を走らせ、ニタリポイントに向かいます。
そこに着くと、もうすでに他の船でいっぱいになっていました。他の船が見ているほうに目をやると、ものすごいものが目に飛び込んできました。ニタリクジラのブリーチングです!細長い身体をすーっと空中に覗かせ、そのまま海面に倒れこんでいきます。何あれ、すごいー!という声が耳に飛びこんできます。
僕も興奮して、周りの人と手を取り合って喜び合いました。本当に美しいのです。細長く貴賓のある身体に、薄桃色のお腹が見えます。世界一美しいクジラと言われるのも、嘘ではないんだなあと思いました。このニタリクジラは、何回かジャンプを繰り返した後、今度は仰向けになって泳ぎ始めました。こちらからはピンク色のお腹が、はっきりと見えます。
すいすいと本当に気持ちよさそうに泳いでいます。ときどき呼吸のために、ひっくり返っては、またのんびりと漂っています。・・・気がつくとニタリクジラの姿は見えなくなっていました。船の下をのぞき込むと、下から泡がぶくぶくと上がってきます。これは、ひょっとしてあのクジラが出しているのかも知れないと思って、じっと下のほうを見ました。
すると、本当にニタリクジラがいたのです!なかなか見ることができない尾びれや全身まで見えます。やっぱり身体は細長く、尾びれはとてもきれいでした。もう、大感激なひと時でした。
ニタリクジラもザトウクジラと同じように、いろんな行動をすると聞いてはいたのですが、そんなに頻繁には行わないということでした。まさかここまで見れるとは思ってなかったので、大満足な一日でした。
今回は、こんなにも多彩なニタリクジラの行動を目にすることができましたが、こんなことは地元の人でもめったにないことだといいます。よほど、運が良かったと思うのですが、やはりここでのニタリクジラとの出逢いが、僕を何度もこの海に通わせることになりました。
訪れるたびに、様々な生態を見せてくれるニタリクジラ。まだまだこれからも、いろんな仕草で僕たちを迎えてくれることでしょう。しかし、たくさんの船に囲まれて(多いときには1頭のクジラに20隻くらい船がついていた)、すこしかわいそうだなとも思いました。これから先も、この海でずっとクジラに逢えるように、できることならもっとクジラにも人間にもストレスなく、ウォッチングできる環境へと変わっていくことを望んでいます。
大方町遊漁船主会 | |
住所 | 高知県幡多郡大方町入野1942-3 |
TEL | 0880-43-1058 |
出港時間 | 午前 8時〜12時 午後 1時〜 5時 (クジラが見れるまで多少ずれることがある) |
料金 | 大人 5000円 小学生 3500円 |